井桁基礎工法とは

 井桁基礎工法は、ウッドデッキや木道等の小型構造物の基礎として使える新しい工法です。
 木材を使用しているので、従来の鋼管杭やコンクリートを使用した基礎工法に比べ、安価で施工性に優れ、周囲の自然環境への影響が少ないという特長があります。基本的に無廃土で施工可能です。

 井桁基礎工法開発の発端は、とあるビオトープ空間の木道にコンクリート基礎を使用しなければならなかったことに始まります。当時、東日本大震災の頃でしたが、コンクリート基礎以外には、PC球状基礎や鋼管杭などしか選択肢がなく、なおかつ周囲の地盤を乱さず安価に施工できる方法は皆無でした。もっと簡単な方法で施工できる仕組みがないか考えていた中でのアイデアでした。

igeta-001-002.png

新たにカタログを掲載しました。(2022.2.5)
最新カタログ

開発の経緯

農村公園における施工時の状況です。
天然記念物の野草が生息する場所ですが、既存の土壌は掘削によって大きくえぐられ、60cm角のコンクリートブロックが基礎に埋められています。
その上部工にグリーンハートの木道を設置させていただきましたが…

ビオトープの観点からいえば、できるだけ土工事を行わず、現在の生息環境を保持する施工方法が望ましいです。
生態系に一番負担が少ないからで、なおかつ天然記念物の野草が生息している状況を鑑みれば、6トン~7トンもある重機が表土を荒らしているのはいかがでしょうか。
この時、何でもかんでもローコストというだけでコンクリート基礎に決められてしまうことに疑問を感じました。
小径鋼管杭で行うこともできたはずですが、やはり金額が折り合いませんでした。

そこでいろいろ熟慮した中で生まれたのが、安価にできる井桁基礎工法です。
従来の木杭に部材を足すことで支持力が得られることがわかりました。
ただし、建築物や土木コンクリート構造物など重量が大きい構造物に使用することはできません。
木道やウッドデッキ、ベンチなどの軽量造物に適しています。
例えば、写真の場所であれば人力で施工できましたし、機械を入れても3トン程度の重機で済みました。

湿地帯や池など水深が浅い部分に構造物をご検討であれば、きっと安価にご提案できます!
しかも腐食に対して15年保証がついていますので、発注者の方にも安心していただけると思います。

幅員1.2mの木道に60cm角のコンクリート基礎が2つ。
過剰設計に思えるかもしれませんが、、地盤調査の結果を考慮した地耐力から計算するとこの大きさが必要です。
50cm角では足りませんでした。
この時、井桁基礎工法が使えていれば、掘削する必要もなく、残土さえ発生しませんでした。
土工事がないということは表土がそのままなので、生態環境への影響は最小限に抑えられたはずです。

施工から約半年。
水底には植物が戻っておりません。
一方水辺には外来種が確認できます。

井桁基礎工法の特徴

この工法は、基本的に土工事がありません。そして構造が単純ですので比較的安価です。例えば地盤のN値2程度の粘性土質地盤では、井桁基礎1か所当たりで10kN/m2くらいの支持力が得られます。実際に載荷試験を実施し確認しました。
木材ですので、耐久性を心配される方もいらっしゃると思います。井桁基礎工法には、グリーンハートやケブラッチョコロラドといった特に水に強い木材を使用します。腐食に対しては15年保証です。しかし、15年経過したらそれで腐食し始めるわけではありません。日本国内でも20年以上経過している施工実績が増えてきています。

他工法との比較